論文の残滓

特許実務に関するあれこれ。

韓国特許法改正

韓国代理人が遊びに来たので、韓国特許法改正について色々聞いてみた。

 

1.仮出願制度の開始

 クレームが無くても出願日が認定されるようなる。

 クレームは優先日から1年以内に出せば良い。

 英語での仮出願も可。ただし、出願日から1年2ヶ月以内に韓国語翻訳文の提出要。

 

2.PCT移行時の翻訳文の提出

 現在は、優先日から31ヶ月までに提出。

 優先日から32ヶ月まで延長される。

 

3.翻訳文主義への変更

 原文からの誤訳訂正が可能になる。

 

4.追納期間後の追納料金の減額

 6ヶ月後の追納期間後、3ヶ月間3倍の特許料を納付することで特許権が回復する。

 3ヶ月間の3倍の特許料が2倍の特許料へ減額。

 

5.その他

 法令改正以外の変更点や、今後の改正予定。

 

(1)プログラムのカテゴリー

 審査基準上、プログラムは物の発明として取り扱うようになる。

 裁判上は不明。

 

(2)FAの短縮

 現在FAまでの平均期間は13.5ヶ月であるが、これを11.7ヶ月まで短縮予定。

 これに伴いOAの発行が、今年より2割程度増える模様のこと。

 

(3)審査対応の方向性の変更

 現在は、特許要件を満たさない出願について拒絶する方向性で審査を行っていたが、今後は、補正の示唆を行う等、特許可能となるように補助する方向で審査を行う。

 具体的には、審査官または特許庁から下記の対応が行われる予定とのこと。

 

 (i)   拡大された優先審査制度の導入

    特許庁が選択した出願について、予め出願人に技術説明会を行ってもらう。

    技術説明会後に審査官はFAを行う。

    なお、技術説明会では、予め補正の方向性について審査官から示唆がある場合も。

 

 (ii)  補正の示唆

    補正の方向性を示唆するOAを発行するようにする。

 

 (iii) 補正書等提出後の補正の示唆

    審査官が補正書および意見書で特許可能と判断できず、且つ、補正可能期間である

    場合、再度補正の方向性について示唆がある場合も。

 

 (iv) 再審査請求後のOA

    再審査請求後、特許可能と判断できない場合、拒絶査定が再度だされるが、今後は

    一度OAを発行し、補正の機会を与えるように変更する。

 

(4)PPH-MOTAINAI施行

 韓国もPPH-MOTAINAI制度が利用可能になる。

 

(5)新規性喪失の例外

 新規性喪失の例外の適用を申請できる期間は、出願時およびPCT移行時の一定期間であるが、延長する方向で法改正される予定。

 

(6)特許査定後の分割出願

 特許査定後の分割出願が可能になるよう法改正される予定。

 

                                     以上