論文の残滓

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中東への出願@備忘録

原油の価格が下落し、オイルマネーのパワーは一時期ほどではなくなっています。

ただ、中東はマーケットも大きくなりつつあり、製薬メーカー以外もぽつぽつ出願が増えつつあります。

 

中東に出願する際に困るのは、言語の壁…。アラビア語をそのまま読める日本人は少ないし、英語の情報も意外と少ないもの。

そして、未だにPCTに加盟していない国があったり、さらには、パリ条約に加盟していない国もあります…。

日本の大企業だと日本に基礎出願して、1年後にPCT出願して、更に1年後に移行準備という流れが一般的ですが、そんなことしてたら優先日がえらく後連れすることもあります。

下手をすると気付くのPCTの移行時期であり、既に手の打ちようがなかったと言うことが有ったとか無かったとか…。

アフリカも同じようなことを聞くのでご注意ください。

 

マーケットを想定し、出願時に早め早めに現地代理人に確認することでカバーしていましたが、まとめておいた方が事務所的によろしいので集められる資料から書き起こしてみました。

 

中東各国への出願方法としては、

1.直接出願

2.パリルート

3.PCTルート

の3ルートがあり、また、一部の国については、湾岸協力会議特許庁(GCC)を利用することで広域特許の形でカバーできます。

GCCが便利なのは、未だに実体審査をしてくれないクウェート等でも権利がとれることと、メジャーなマーケットはカバーできること。

ただし、GCCは、PCTルートを使えないので要注意です。

GCCの参加国等は以下の通り。

 

広域 参加国 PCTルート パリルート 言語 従属形式 治療・診断方法 品種(動植物) 遺伝子・タンパク質 備考
湾岸協力会議特許庁
(GCC)
UAEオマーンカタール
クウェートサウジアラビアバーレーン
× ×(未加盟)
ただし、優先権主張は可
アラビア語 マルチ:○
マルチマルチ:○
×(方法に用いる製品除く) ×(微生物学的方法およびそれにより得られた物を除く) 各国出願との併存不可
-:不明                  
領事認証要の国が多いため、現地代理人に事前に確認要。              

 

その他各国は以下の通り。

パレスチナは出願自体はできるようです。審査されているのかは不明ですが…。

 

国名 GCC参加 PCTルート パリルート 言語 従属形式 治療・診断方法 品種(動植物) 遺伝子・タンパク質 備考
アラブ首長国連(UAE) ○(30ヶ月) ○(直接 or GCC経由) アラビア語
英語(PCTのみ)
× ×(微生物学的方法およびそれにより得られた物を除く) 優先権証明書の領事認証要(90日以内、時間と費用大)
イエメン × × アラビア語 × ×(微生物、非生物学的方法および微生物学的方法を除く) 遺伝子:× 食品、薬品、治療用医薬品関連の非化学的発明は不可。
イスラエル × ○(30ヶ月) 英語、ヘブライ語
アラビア語
マルチ:○
マルチマルチ:○
× × IDSの類似制度有り
(Section 18)
イラク × ×(未加盟) ×(未加盟) アラビア語 ファミリー出願の情報開示要
イラン × ○(30ヶ月) ペルシャ語 × ○(生物学的プロセスは不可) 遺伝資源:× 優先権証明書の領事認証要(90日以内、時間と費用大)
エジプト × ○(30ヶ月、
33ヶ月まで延長可
(延長費用要))
アラビア語 × ×(動植物を生産するための非生物学的方法および微生物学的方法を除く) 遺伝情報:× ファミリー出願の情報開示要
オマーン ○(30ヶ月) ○(直接 or GCC経由) アラビア語 植物:○
微生物以外の動物、動物またはその一部を生産するための、非生物学的方法および微生物学的方法を除く本質的に生物学的方法:×
自然物不可。自然物の用途可。
カタール ○(30ヶ月) ○(直接 or GCC経由) アラビア語 × ×(微生物学的方法およびそれにより得られた物を除く)  
クウェート ×(未加盟) ○(直接(14/12/02~) or GCC経由) アラビア語 × ×(微生物学的方法およびそれにより得られた物を除く) 受理のみ。
GCC経由の権利化検討。
医薬品不可。
サウジアラビア ○(30ヶ月) ○(直接 or GCC経由) アラビア語 ×(方法に用いる製品除く) ×(微生物学的方法およびそれにより得られた物除く)  
シリア × ○(31ヶ月) アラビア語 ×(方法に用いる製品除く) ×(微生物および動植物を生産するための非生物学的方法および微生物学的方法を除く) 存続期間:出願日から15年、
特許許可後2年以内の実施義務
トルコ × ○(直接:30ヶ月、
EPC経由:31ヶ月)
直接:トルコ語
EPC経由:英語等
直接:-
EPC経由:○
× ×(動植物品種又は動植物品種の増殖方法であって,主に生物学的要素に基づくもの )  
バーレーン ○(30ヶ月) ○(直接 or GCC経由) アラビア語
英語(PCTのみ)
× ×  
パレスチナ ×  
ヨルダン × × アラビア語 × ×(微生物、非生物学的方法および微生物学的方法を除く)  
レバノン × × アラビア語
英語、フランス語
×  
-:不明                  
領事認証要の国が多いため、現地代理人に事前に確認要。                  

 

中東系の国で気をつけないと行けないのは、優先権証明書等に領事認証が必要な国が多いこと。

3ヶ月以内、延長不可で提出を求められることが多いため、すぐに動けるよう準備しておくことが大切となります。

認証取得の費用も結構お高いので、慣れないと色々大変な中東出願でした。

 

なお、上記表の正確性は保証致しかねますので、出願される際は現地代理人にご確認ください。