論文の残滓

特許実務に関するあれこれ。

基礎出願の包袋閲覧(特許)

気がつけば年末です。

師走とはいいますが、12月週3-4ペースで出張しており、中々きついもの。

仕事は増える一方、処理する時間はない…

年度末までこんなものでしょう。

 

本年最後の投稿は、基礎出願の包袋の閲覧について。

 

係争事件になると基礎出願の包袋の確認が必要となることがあります。

ただし、未公開出願は、出願人以外が閲覧することは原則できません(特許法第186条第1号)。

この規定には例外があり、基礎出願の包袋は、基礎出願に対する優先権を主張する出願が公開された場合、閲覧請求が可能となります(方式審査便覧58.20)。

 

基礎出願および優先権主張出願がともに国内出願である場合は、便覧どおりの取扱いとなりますが、優先権主張出願が国際出願(日本語でのPCT出願)である場合、国際公開後に基礎出願の包袋を閲覧できるのでしょうか?

おそらく可能と推定されますが、600円払ってだめだともったいないので、念のため特許庁に確認してみました。

なお、基礎出願の明細書等は、WIPOのデータベースから該当する国際出願の優先権証明書等により確認できます。

 

日本語でのPCT出願の場合、国際公開後であれば、通常の閲覧請求により基礎出願の包袋は閲覧できるとのことでした。

この場合、通常どおり、基礎出願の出願番号を記載して閲覧請求をすれば、特許庁側で優先権主張出願の公開の有無を自動的に判別するため、優先権主張出願の出願番号または国際公開番号を【その他】欄等で記載する必要は無いとのことです。

 

ということで、日本語の出願同士で有る場合、基礎出願(国内)→優先権主張出願(PCT)であっても、優先権主張出願が公開されれば、基礎出願は閲覧できるようです。