論文の残滓

特許実務に関するあれこれ。

CRISPR-CAS9システムの基本特許の成立予定(米国)

先月末にこんなことを書いていましたが、予想外に早くUCB特許が成立することになりました。

 

nannosono.hatenablog.com

 

2月8日付けでUCBの米国出願(13/842,859)について、特許許可通知が発送されました。本通知から3ヶ月以内に特許料を支払う必要があるため、遅くとも5月には特許が成立します。

なお、1月9日付けでTerminal Disclaimerが提出されており、存続期間の満了日は米国のファミリー出願と同じになります。

 

本件の特許化により、UCBは、sgRNAを使用するCRISPR-Cas9システムについて基本特許を取得することになります。(以前に記載したようにsgRNA自体をカバーするとクレームは、日欧の特許とは異なり、本件に含まれていません。)

Broadは、自身の特許の価値には影響しないとコメントをしていますが、sgRNAを使用する場合はUCBのライセンスが必須となり、ライセンシーは複数ライセンスが必要となります。

このため、従前よりは特許の価値が低下することになるでしょう。

 

Broadからのみライセンスを受けている企業もあるため、今後、UCB v Broadの第二ラウンドが開始されるか?(開始済?)