論文の残滓

特許実務に関するあれこれ。

IgE memory B cells and plasma cells generated through a germinal-center pathway

Oezcan Talay, Donghong Yan, Hans D Brightbill, Elizabeth E M Straney, Meijuan Zhou, Ena Ladi, Wyne P Lee, Jackson G Egen, Cary D Austin, Min Xu & Lawren C Wu

Nat.Imm. 13, 396-403 (2012)

 

 

 IgE+ Bがどこから来るかというお話。

・naive B細胞がCSRをする場合はIgM→IgE or IgM→IgG1→IgEの2つの経路(IgG1、IgEへのCSRにはIL-4が関与しているため連続的にCSRすることが可能)。

・現在のところIgE+Bの分化には後者の経路がメインで働いていると考えられている(IgG1 center model)。

・IgE+ B細胞の検出には、酸性条件下においてIgEのCD23(low affinity IgE receptor)からのストリッピング→anti-mIgEによる染色という、結構無茶苦茶な条件が用いられている。

・上記の手法を用いた際にIgE+ GC Bやmemory Bが検出されていないためIgG1細胞がIgEにスイッチ後すぐPCに分化し、抗体産生を担っているとされているが真偽不明。

 

今回、筆者等は膜型IgEを発現する細胞にのみGFPが発現するマウスを作成し、GFPの発現を指標とすることで、IgE発現細胞の分化について検討した。IgE発現細胞においても、他のクラスのB細胞と同様にGC B細胞、memory B細胞が存在すること、二次応答時のIgEのソースのメインはIgG1+ memoryではなくIgE+ memoryであることを示している。またIgE+ memoryはGC Bには分化せず、PCにのみ分化するようだ。ということで、従来考えられていたようにIgG1+ B memory or GC Bが途中に介在し…、ということでは無さそうだということが明らかとなったそうな。

 

ただし、GC independetにIgEにCSRしているmemoryの影響や、GC中でIgG1+の中間状態を取っているものがいないかどうかについては検討されていないため、筆者達がまとめに書いているようにGC内でIgM→IgEなの?というところには疑問がつきます。実際、そうではないんじゃねと示唆する論文もあるので、次はそれを。