論文の残滓

特許実務に関するあれこれ。

2016-01-01から1年間の記事一覧

特許異議申立制度の簡易統計(その3)

さて、三度目の簡易統計であり、今回は出願人の種別です。 企業が、権利の成立を阻止する行為および権利を消滅させる行為をするというのは、その出願が権利化された場合、または特許権が存在する場合、その企業の事業に差し障ることを基本的に意味します。 …

特許異議申立制度の簡易統計(その2)

前回に引き続き、特許異議申立制度の簡易統計。 今回は、1件あたりの申立回数について。 100件の平均値は1.14回であり、基本的には、1件の特許権に対し、申立回数は1回。 複数回行われているものは、審査段階で刊行物等提出書を複数回提出されてい…

特許異議申立制度の簡易統計(その1)

多忙で放置していたら、あっという間に2ヶ月経過…。 特許業界的には、サントリーがアサヒビールに実質完全敗訴したり、Ariosaの上告申立が却下されて、アメリカのバイオ特許業界が不毛地帯になりそうならないけどなど、なかなかネタの多い二ヶ月でした。 本…

仁義なき特許戦争 CRISPR-CAS9編@雑談

バイオ系の大元を押さえる特許は、それを用いたリサーチツールや医薬品等の幅広い製品をカーバする特許となるということで、すごいお金になる特許でもある。 PCR、遺伝子組み換え技術、siRNA等の特許をみても、その特許を件をライセンスしている某社のライセ…

訂正時の発明のカテゴリー変更 その2@国内審判

前回の記事の続き。 訂正時の発明のカテゴリー変更@国内審判 - 論文の残滓 特許を訂正する場合、訂正の目的は一定の目的に限定されています(特126条1項但書各号)。 昨年の最高裁判決(最高裁第二小法廷判決平成27年 6月5日(平成24年(受)第1…

訂正時の発明のカテゴリー変更@国内審判

昨年の最高裁判決により、プロダクトバイプロセスクレーム(PBPクレーム)の明確性について、より厳格に判断するようになりました。 また、最高裁判決に基づけば、すでに成立している多数のPBPクレームを含む特許についても、潜在的に明確性の無効理由を有する…

韓国特許法改正(2016年2月)@備忘録

ありがたいことですが、年度末で忙殺。 To doリストを更新しないと大変なことになりそうな状況なので、とりあえず更新したところ、来週だけでも出願期限のものが結構あるようで…。 皆さん、ぎりぎりにならないと反応してくれないのでつらいものです。 さて、…

中東への出願@備忘録

原油の価格が下落し、オイルマネーのパワーは一時期ほどではなくなっています。 ただ、中東はマーケットも大きくなりつつあり、製薬メーカー以外もぽつぽつ出願が増えつつあります。 中東に出願する際に困るのは、言語の壁…。アラビア語をそのまま読める日本…

手続のオンライン化@PCT

PCT出願関連の手続で面倒なのは、出願手続はオンラインでできるのに、それ以降の手続の多くがオンライン不可なこと。 企業さんの出願の場合、予備審査請求をすることは基本的にありませんが、大学さんの場合、JSTの支援制度を利用することが多く、国際…

拒絶理由通知時の応答期間の延長(その2)@国内

4月1日から出願手数料、審査請求料、特許料等の手数料が改定されます。 www.jpo.go.jp いずれも現在の手数料より若干お安くなりリーズナブル(?)になるようです。 大手企業にとっては、結構な額の手数料が浮くのではないでしょうか。 その分を使って、より…

特許審査基準(用途発明)の改訂(その2)@国内

先日、ブログで記載した食品用途発明の審査基準にする運用変更に関連し、 特許審査基準(用途発明)の改訂@国内 - 論文の残滓 食品用途を認める審査基準の運用を開始する旨の正式なアナウンスが特許庁からありました。 www.jpo.go.jp 新たな審査基準の運用…

PPH制度@中国

中国において、ベンチャー系の出願の権利化を行う際に困るのは、まともに使用できる日本のような早期審査制度がないこと。 中国にも優先審査制度は存在しますが、対象がグリーン関連等かなり限定されているため、対象となる出願はかなり少ないのが現状です。…

特許審査基準(用途発明)の改訂@国内

日本では、食品用途は下記のように用途としては認められていません。 特許・実用新案審査基準より抜粋 第III部 第2章 第4節 特定の表現を有する請求項等についての取扱い 3.1.2(2)請求項中に用途限定があるものの、請求項に係る発明が用途発明といえ…

拒絶理由通知時の応答期間の延長@国内

特許法条約(PLT)及び商標法に関するシンガポール条約(STLT)への加入に伴い、応答期間の延長制度の運用が変更され、便利になるようです。 www.jpo.go.jp 特許制度を例にあげると、現状は、在外者は期限延長請求書により最大3ヶ月延長できたのに対し、国…