論文の残滓

特許実務に関するあれこれ。

2019-01-01から1年間の記事一覧

Broadの日本におけるゲノム編集特許の状況

気がつくとあっという間に数ヶ月がたつものです。 備忘録がてらに1投稿。 Broadの下記2件の出願について、本年1月29日付けで拒絶審決の取消を求めた審決取消訴訟が知財高裁に提起されました。 いずれも、JP出願においては比較的広いクレームです。EPで…

UCB v Broadのインターフェアレンス 第2段開始のお知らせ

CRISPR-Cas9の米国における基本特許について下記の投稿してから5ヶ月立ちました。 nannosono.hatenablog.com が、6月24日のinterferenceが宣言され、再戦です。 news.berkeley.ed UCBの特許を追っかけていた人はクレームをガチンコで寄せていたので、うすう…

J-PlatPatのRSS機能を用いた経過監視の仕方

6月6日にJ-PlatPatでRSS機能がリリースされたと公表されました。 J-PlatPatでは対象案件について更新があると、翌日にJ-PlatPatでの情報が翌日に更新されるため、RSS機能を用いると更新された情報を随時確認することで経過監視が可能になります。 なお、J-…

欧州における動植物関連出願の審査・審理停止

2017年に改正されたRule 28(2) EPCについては、以前アップしたように、Article 53(b)の解釈に関するブロッコリ事件・トマト事件における拡大審判部の判断と抵触するとの判断が審判部から示されました。 nannosono.hatenablog.com 欧州特許条約上、規則が法令…

JP Patent status and claim 1 of Broad's CRISPR-Cas9 Patents.

Broadの日本特許3件 特許第6203879号 【請求項1】 クラスター化等間隔短鎖回分リピート(CRISPR)-CRISPR関連(Cas)(CRISPR-Cas)ベクター系であって、I. CRISPR-Cas系キメラRNA(chiRNA)ポリヌクレオ…

EP Patent status and claim 1 of UC Berkeley‘s CRISPR-Cas9 Patents.

執筆用メモ UCBの欧州特許 一本鎖型については本命、欧州では二本鎖型を狙った出願を既に権利化済。 EP2800811B:口頭審理未定(補正クレーム提出済(2018/10/25)) 1. A method of modifying a target DNA, the method comprising contacting the target D…

EP Patent status and claim 1 of VILNIUS‘s CRISPR-Cas9 Patents.

執筆用メモ VILNIUS大学の欧州特許、OA苦戦中であったが、1月23日にGrantがでようで。 5者の中で最先でFileしているので、代理人がもっと優秀であれば、結果は違ったかも知れません。明日は我が身…。 EP2828386 1 . A in-vitro method for the site-spec…

EP Patent status and claim 1 of Toolgen‘s CRISPR-Cas9 Patents.

執筆用メモ ツールジェンの欧州特許(2019/02/22) 真核生物のデータを含めて初めてFileしたのはToolgen。 ただし、Sienceの論文公開後であり、全般的に進歩性? ガイド鎖末端のGG付加がポイントか。 EP2912175:異議申立中(口頭審理未定) 1. A Type II Cl…

EP Patent status and claim 1 of SIGMA ALDRICH‘s CRISPR-Cas9 Patents.

執筆用メモ SIGMA ALDRICHの欧州特許(2019/02/22) SIGMAの技術の特徴は、HR修復を使った核酸の導入と、ニッカーゼ型で切る点。 EP3138910B:異議申立中(口頭審理未定) 1. A method for integrating an exogenous sequence into a chromosomal sequence o…

EP Patent status and claim 1 of Broad’s CRISPR-Cas9 Patents.

‘執筆用メモ 欧州におけるBroad Instituteの特許の状況。~2018年10月初旬までに成立済のものまで。 EP2764103:口頭審理待ち(2019/03/04、補正クレーム提出済) 1. An engineered, non-naturally occurring Clustered Regularly Interspersed Short Palind…

CRISPR-CAS9システムの基本特許の成立予定(米国)

先月末にこんなことを書いていましたが、予想外に早くUCB特許が成立することになりました。 nannosono.hatenablog.com 2月8日付けでUCBの米国出願(13/842,859)について、特許許可通知が発送されました。本通知から3ヶ月以内に特許料を支払う必要があるため…

話題のエボラウイルス治療薬の特許

某大学の先生が製薬企業が開発してくれないので、自分で開発する。自分で開発するにあたり、前臨床試験に用いる資金がないので、クラウドファンディングをするということです。 ビジネスをするつもりであれば特許があるでしょうし、関連する特許を調べてみま…

UCB v Broadのインターフェアレンスの終了と今後の動向

UC Berkeley v Broadのインターフェアレンスに関するCAFC判決について3ヶ月前に下記の記事をアップしましたが、昨年末に動きがありました。 nannosono.hatenablog.com UCBは上告は行わず、CAFC判決が確定。この結果、再度審査部での審査に付されることになり…

振り回される植物特許@欧州

植物に関する知的財産権としては、主に育成者権または特許権が存在する。 ただし、育成者権に関連するUPOV条約では、かつて育成者権および特許権による植物新品種の二重保護を認めていなかったため、その名残で、特許権による植物品種の保護を現在も認めてい…