論文の残滓

特許実務に関するあれこれ。

Early Th1 cell differentaion is marked by a Tfh cell-like transition

Nakayamada, S. et. al. Immunity 35, 919-931 (2011)

 

・Tfh→GC形成、B cell functionのsupportに特化したCD4+ T cell subset

・Tfhの分化はIL-6, IL-21→STAT3→Bcl-6→Tfh related genes↑ (like CXCR5, PD-1 and ICOS)というpathwayが重要である

Bcl-6がTfh master regulator

(extrafollicular helper T cellはBcl-6+だがCXCR5を発現していないとか話もあったり)

Bcl-6の誘導に関してはSTAT3-/- CD4+ T cellでもTfhが分化してくることから、alternative pathwayが存在しているのではないかという話がある。

(in vivoではconditionによってIL-6やIL-21がTfhの分化に要らないことも多々ある)

・活性化したCD4+ T cellにはTfhでなくてもBcl-6、IL-21が出ているものもいる。

(IL-21はTh17も大量に作る)

 

TfhはTh1, Th2, Th17 typeがある言われており現状ではカオス。

regulatory TfhというBcl-6+Foxp-3+細胞も報告されている。

p.p.ではTregがTfhにconversionするという話などもある。

 

humanではIL-12→STAT-4 pathwayがTfh like cellおよびIL-21産生を誘導されることが報告されている。

(マウスではIL-12→T-betがIL-21を抑制すると報告がある)

→筆者等はIL-12を用いて、murineモデルでも本当にTfhの分化に関連する因子の誘導に関与していないか検討した。

 

・IL-12はTh1, Tfh両者の遺伝子を誘導する

anti-CD3e + anti-CD28 +cytokineの系で検証

IL-12存在下だと1/4程度がIFN-g+IL-21+。またIFN-g-IL-21+も10%程度。(IL-6存在下の場合IFN-g-IL-21+のみ)

Tfh phenotypeのCXCR5+PD-1+においてもIL-12>IL-6

ICOS、Bcl-6のタンパク質発現も誘導される。

IL-12存在下で誘導した細胞についてIL-21-とIL-21+細胞を比較するとIL-21+細胞の方がIFN-g、T-betの発現が高く、Tfh phenotype細胞も多い。

 

・STAT-4がIFN-g+、IL-21+ cellの誘導に重要

STAT3, 4のいずれがIL-12の下流で働いているか?

STAT-3-/-でも部分的には落ちるが、STAT-4-/-ではIL-21+がいなくなる(IFN-g+はSTAT-4-/-でのみ落ちる)。

(STAT-3が効いているのはIL-12によって誘導されたIL-21がautocrineに働くから?)

 STAT-4-/-ではTfh phenotype細胞↓、ICOSの誘導↓

IL-12によるBcl-6の誘導はSTAT-3-/-では下がっていない(データはそう見えない)が、STAT-4-/-では大幅に低下。

STAT-4-/-をOVAで免疫するとIgG2b↓、Tfh↓、GC B↓ @d4 (d8以降は差が見られない)

 

IL-12→STAT-4→Bcl-6→Tfhの色々

 

・IL-12によるIL-21+細胞の誘導は一過的

長期培養をするとIFN-g+、T-bet+細胞の数は増加 or 維持されるのに対し、IL-21+、Bcl-6+細胞はd3, d5をそれぞれのピークとして減少に転ずる。

T-bet、Bcl-6の発現とIFN-g、IL-21、CXCR5の発現を比較すると、

IFN-gにおいてT-betはpositve、Bcl-6はnegativeに作用

IL-21においてT-bet、Bcl-6は共にpositiveに作用

CXCR5においてはT-betはnegative(?)、Bcl-6はpositiveに作用していそうに見える。

 

・T-betはTfh markerを抑制する

T-betはIL-21をnegativeに制御しているという報告があるが、Tfhの他のmarkerに対してはどうか?

T-bet-/-ではCXCR5+PD-1+↑、Bcl-6の発現↑

RetroでT-betを戻してやると、逆にBcl-6↓IL-21↓IFN-g↑(Blimp-1の発現は変化無し。×T-bet→Blimp-1−|Bcl-6)

(Fig.3のT-bet-Bcl-6+でIL-21highが少ないのは何故?理論的にはIL-21highが増えるはず)

 

Bcl-6、IL-21 locusへのT-bet、STAT-4の影響

DNase hypersensitivity assay、H3K4me3、H3K36me3(転写活性化の指標)、およびSTAT-4、T-betのbindingを検討。

IL-21 locusへはSTAT-4のみ結合する。一方でBcl-6 locusへはSTAT-4、T-bet共に結合する。

IL-21、Bcl-6 locusのメチル化はSTAT-4-/-で↓、T-bet-/-で↑

Bcl-6 locusは常にopen (naive or Th1)。

(STAT-4、T-betはCXCR5、PD-1、ICOS locusに結合する。このうちT-bet-/-でH3K4me3が落ちるのはCXCR5のみ)

T-bet-/-では後期においてもTfh phenotypeの細胞は維持される。

 

Th1初期

STAT-4→Bcl-6

Th1後期

T-bet −| Bcl-6、(CXCR5)

 

・IFN-gはTfh phenotypeを抑える(?)

in vitroでIFN-gの効果をIFN-gを添加 or anti-IFN-gで中和することで見た。

Th1 conditionでd0→d3時にはIFN-gはIL-21、IFN-gの産生をpositiveに。

(early phaseではIFN-gがIL-21の産生を増強している。STAT-1?)

d3→d5時にはIFN-gはIL-21の産生をnegativeに。

(IFN-gは両面性のあるサイトカイン?IFN-γ下流のSTATとT-betとの兼ね合い?)

PD-1+CXCR5+細胞の誘導、Bcl-6の発現においてはIFN-gはnegative

IL-21の添加はTh1 phenotypeを抑える。

 

IFN-g、IL-21はお互いにTfh、Th1 typeへの分化を抑制する。

IL-21の誘導におけるIFN-gの役割は議論の余地有り。

 

・in vivoでの確認

Toxoplasma gondiを感染させる系で調べる(Th1で排除される細菌)

T-bet-/- d7 spleenにおいてIFN-g-IL-21+ cell、CXCR5+PD-1+ Tfh↑

Rag-/-にCD4+T cellをtrasferした系でも同様にIFN-g-IL-21+ cell、Tfh↑

(IFN-g+IL-21+ cellはどちらの系においても変わらない)

 Tfhの増加に伴いT-bet-/-ではGC B cell↑ STAgに対する抗体価↑

 

in vivoでもT-betはTfhへの分化を抑制している。

 

Th1 conditionで活性化したCD4+ T cellはSTAT-4 signalでTh1、Tfhのどちらにも分化できるような細胞になる。

その状態でIFN-g→T-bet signalが強いとTh1 typeに、IL-21→STAT-3 signalが強いとTfh (Th1 type?)に分化するのであろう。

Th2、Th17でも同様に他のSTAT family分子が一過的にBcl-6の誘導を行いTh-Tfhの中間状態の細胞を分化している可能性を検討する必要があるかも。