特許異議申立制度の簡易統計(その3)
さて、三度目の簡易統計であり、今回は出願人の種別です。
企業が、権利の成立を阻止する行為および権利を消滅させる行為をするというのは、その出願が権利化された場合、または特許権が存在する場合、その企業の事業に差し障ることを基本的に意味します。
このため、名前を権利者等に知られてしまった場合、権利者の侵害調査の開始等の対応を誘発する可能性が高く、将来的な係争の可能性をわざわざ高めてしまうこととなります。
この点に関し、新たな特許異議申立制度では、何人も特許異議の申立てが可ということで、制度設計上、第3者、いわゆるダミーにに代わりに申立てをしてもらうことが可能です。
したがって、上述のような事情が一般的に存在することからも、ダミーを用いた特許異議の申立てが多数となることが考えられます。
そこで、この点を確認してみました。
出願人の種別は、自然人、企業、およびその他法人(特許業務法人等)の3種類に分類。
これらの中で、ダミーに該当するのは、主に自然人およびその他法人です。
予想通り、ダミーによる申立てが多く、100件の約8割を占めました。
申立人の名前を見ていると、企業さんのポリシーによるのかもしれませんが、東レさん等の一部の企業さんは、基本的に名称を出して特許異議の申立てをされていたのが興味深い。
関連する特許権に関して、既に係争事件になっており、名称の開示に問題がないのかもしれませんが…。
ダミーとして特許業務法人を使用する場合の留意事項ですが、出願業務を普段代理している代理人を使うのは、どこがやっているのかばれるので避けた方がよいでしょう。
また、ダミーとして、自然人を使う場合は、毎回違う人を使うのがベター。
同一分野の複数社に対し、同一人が特許異議の申立てをしている場合があり、特許権者の名寄せをすると、どこがやっているのか一目瞭然というケースも…。
ダミーを使うにしても、いろいろと考慮すべきことはありそうです。